BITS OF KNOWLEDGE

築地話

売り買いのコツ、値切りの方法、仕入れの流れなどなど。あまり知られていない、築地話の断片集。

1  仕入れの時間

「築地にいつも何時くらいに行くの?」とよく聞かれる。

だいたい午前7時位の電車で向かって、築地には8時前位に着く。

「意外と遅いんだね」と言われるけど、買い付けの人々はだいたいそんなもん。

皆さんがイメージしてるのは多分セリだと思うんだけど、セリは卸し(おろし、大卸しともいう)から中買いが買う時間。自分らは、その中買いから魚を買う。

深夜から明け方にかけて競り落とし、6時過ぎ位から徐々に中買いの店に並び始める。

8時くらいがピークで、10時過ぎには店終いを始めるから、9時前位から投げものが出始める。

当然、投げかどうかは相場を知らないと分からない。彼らもプロなので雰囲気を見て値段を投げかけてくる。まあこれが非常に楽しい。

2  買った物はどうやって持ち帰る?

「電車で行くってことは、買った物はどうやって持って来るの?」とよく聞かれる。

クーラーボックスに入れたり折り畳み式のキャリーに積んだり、気合いの入った人は買い物袋を10袋位、持ち手を一つに縛って電車に乗り込んだりと、様々だ。

自分の場合はというと、貝や毛ガニなどは活かして持って来たいので、海水入りの箱で持ってくる。

当然重くなるし、途中で発泡スチロールの箱が割れたりしたらシャレにならない。なので、配送業者を別に頼んである。

これだけ長い歴史のあるトコなので、「あったらいいな」と思うサービスは大体ある。

まず買い物をしたら“茶屋”と言われる配送センターみたいな所に荷物を集めておく。自分の場合“21部”に場所を借りてるので、中買いに「茶屋出しお願いできますか? 21部で上がりは9時です」と言っておくと、そこに持って行ってくれる。

ちなみに、茶屋にも荷物を受け取ってまとめてくれる人がいて、その人達を“茶屋番”という。ついでに言うと場所代は“茶屋銭”という。

つまりこのシステムがあるおかげで手ぶらで買い物ができるし、大きなブリとかマグロとかも遠慮なく買えるし、真夏でも冷蔵庫つきのトラックで品質を落とさず運んでもらえる。

3  天然物と養殖物

一般的に養殖よりも天然の方がウケがいい。

まあ間違ってはいないが、場合によってはという事もある。

例えばサバ。最近寄生虫のアニサキスがやたらと騒がれたが、養殖モノにはいない。

ただし値段は4〜5倍する。時期によっては8〜10倍する。養殖の方がバカ高い。

自分はシメサバが大好きだが、過去3回位当たったのでもう天然は食べない。

他だと、肝がうまいカワハギ。これなんかも天然だと肝が小さかったりするが、養殖はまるまると入っている。ウニも天然はペラペラだ。

もちろん天然でもいいものはある。が、値段は恐ろしく高い。か、旬のど真ん中でないといいのはありつけない。

旬というのはやっぱり凄くて、そこに当たると天然モノの方が安くなる。いいものが安いのだ。

なので、こういう価値観は時期、価格などによって変わってくるものなので、一概にはいい悪いと言えないと思う。

更に掘り下げると、クロマグロの資源の問題とか完全養殖か半養殖かとか、いろーーーーーーーんな問題が出てくるので、この話はここまで。

4  いろんなサービス

築地場内は魚しか売ってない、そう思ってる人は多い。しかしあれだけの人が働いてるのだ。当然必要とされるモノやサービスがある。

病院、歯医者、銀行に郵便局、文房具屋に本屋、キオスク的な店も多々ある。

銀行に限っては小さな信用金庫とかでなく、メガバンクのみずほ銀行が入ってる。

「築地だから早くからやってんのかなぁ」と思ったら、普通に9時からのオープン(笑)

5  築地の番人

買い出しに行くと白装束の人を良く見る。

なんか築地に似つかわしくない感じで、キョロキョロしながら歩いている。

保健所の方たちだ。

要は、悪いモノ、変なモノがないかチェックしてるのだ。

築地は1日に約450種類という量の魚が取り引きされる。

当然見たことのない変な深海魚や、似てるけど違う魚が紛れ込む。

例えば高級魚の“ハタ”。種類も多いし本当に良く似てる。

少し前に赤ハタの種類で毒のあるモノが出ていたことがある。

これを見つけたのも保健所職員。

他にも例えば、ウニは日付けの記入が義務付けられている。100とか200とか扱えば、たまに日付けのラベルが取れているのもある。

そういうのを目ざとく(きちんと)見つけて写真を撮って、売り場の担当者に言う。

ただ言い方はものすごく丁寧だ。河岸の人達をリスペクトしている感じは伝わる。ただ言われた方はいい気はしない。わざとじゃないし忙しい中でやっている。

ここに〝お役人対河岸の荒くれ者″という図式が出来上がる(笑)

法令順守対長年の経験みたいな(笑)

あと研修も兼ねてなのか、卒業したばかりみたいな若い人達が多い。そういう子達は一生懸命河岸の人達に聞いてるし、人間関係を作ろうとしてるのが伝わってくる。

上記のハタの件もそうだが、相当勉強してるんだろうなぁとか思う。

それにしてもベテランの荒くれ者に言うのは大変だな(笑)

6  築地の値切り方

「産直は扱わないの?」

「地元の知り合いのルートで安く仕入れられるよ」

まあ、よく聞かれるし言われる。

築地で買う理由、それは一言で言えば、安いから。

ウチのように特にメニューを決めてない店は、その日築地にある物を買えばいい。例えば、カンパチが高ければワラサにするとか、別に鯛でもシマアジでも構わない。

そういった投げモノが毎日存在しているのが築地なのだ。

例えば毛ガニ。足が1本取れているだけで値段がガクンと下がる。

当然そういう物はみんな欲しがるワケだが、毎日顔を出していれば取っておいてくれる。もっといえばメールがくる。

で、まあ声をかけてもらったものは必ず買う。ムリしても買う。

そうやって少しづつ信用を作っていく。

たまにウチの店でも激安で料理を出す時があるが、あれは仲買いも自分も儲けてはいない。でも、そこには信用が構築される。それでいいのだ。

そして、それは必ず帰ってくる。

それに、値段はその人によって違う。

高く売れる所には高く売って、売り上げが取れれば「残りは原価でもいいや」って感じで売ってくる。

なので各仲買いは、利益の取れるお客、在庫を一掃してくれるお客と、バランスよく持っている。

先日、太刀魚1本とキンキ3本を10万円で買っている人を見た。聞いたら銀座の会員制の料理屋だそうだ。「やっぱ銀座はスゲーんだなぁ」とか思う。

当然そういう人には、仲買いは箱の中でも最高のモノを出す。で、自分らが残りを原価以下で買っていく(笑)

まあ、まだまだ他にも安く買う仕組み、テクニックはあるのだが、長くなるのでまた次回。

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